BtoBマーケティングの全体像を、定義、BtoCとの違い、基本の4ステップ、主要手法の一覧まで一通り整理します。その上で、教科書通りに進めても成果が出ない会社に共通する原因と、自社の状況ならどこから着手すべきかの判断軸を、支援現場の実例を踏まえて解説します。
一般的には、BtoBマーケティングとは、企業が企業に対して行うマーケティング活動全般を指します。この記事では、アイコネクトの定義である「顧客の意思決定を、情報によって前に進めること」を軸に整理します。
企業間取引では、1件の購買に複数の関係者が関わり、検討期間も数カ月から年単位に及びます。広告を見て即購入、という動きはまず起こりません。買い手は次のような理解と判断のプロセスを段階的に進みます。
買い手はこの7段階を、上から順に進みます。
売り手にできるのは、この各段階で判断に必要な情報を届け、検討を一歩ずつ先へ進めてもらうことです。そのためBtoBマーケティングの成果は、アクセス数や資料ダウンロード数だけでは測れません。顧客の理解がどこまで進んだか。比較検討が前に動いたか。商談に近づいたか。ここを見るのがBtoBマーケティングの本質です。
ここまでの7段階が、なぜBtoBに特有なのかを確かめるために、BtoCと並べてみます。違いは「関わる人数」「検討期間」「判断基準」の3つに集約されます。
| 観点 | BtoB | BtoC |
|---|---|---|
| 意思決定者 | 複数(担当者・上長・経営層・情報システム部門など) | 本人(と家族) |
| 検討期間 | 数週間〜年単位 | 即日〜数週間 |
| 判断基準 | 組織の合理性(費用対効果・リスク・稟議) | 個人の感情・好み |
| 単価・契約 | 高単価・継続契約が中心 | 低〜中単価・単発が中心 |
実務上いちばん大きな違いは、BtoBでは「使う人」と「決める人」が別であることです。担当者が良いと思っても、稟議を通すには上長や経営層を説得する材料が要ります。
買い手は営業に会う前に、検索で情報を集め、比較サイトや事例を読み、候補を絞り込むようになりました。CEB(現Gartner)の調査では、買い手は営業に接触する前に購買プロセスの57%を終えているとされます。Gartnerの近年の調査でも、買い手が検討期間のうちベンダーと直接やり取りする時間は17%にとどまります。
一般的には、BtoBマーケティングは次の4ステップで整理されます。
左が買い手の7段階、右がその段階で必要になる情報です。空白の段こそが、顧客の検討が止まっている場所です。
ただし、アイコネクトはこのステップを左(認知)から順に整備するやり方をおすすめしていません。市場には今この瞬間にも、課題を認識し、解決策を検索し、比較まで進んでいる「顕在顧客」がいます。認知施策に予算を投じる前に、この検討が進んだ層をきちんと商談化できる状態、つまりサービス理解・導入事例・比較情報・信頼情報の受け皿を先に作ります。
優先順位は顕在顧客、次に準顕在顧客、最後に潜在顧客です。顕在顧客を取りこぼしたまま潜在層を集めるのは、穴の空いたバケツに水を注ぐことと同じです。
本記事では、手法をSEOや広告といった打ち手の種類、施策をそれを自社で実行する単位として使い分けます。BtoBマーケティングの手法は、次の4区分で押さえると全体を見渡せます。
4区分は、オンライン・オフライン・特定企業向け・営業連携です。それぞれの使いどころを順に見ていきます。
導入事例、顧客インタビュー、独自調査、ホワイトペーパー、比較情報、FAQ、経営者の考え。顧客の比較検討を前に進める情報は、すべてコンテンツです。「コンテンツ=検索流入を取るための記事」と狭く捉えると、打ち手の選択肢を自分から減らすことになります。
一般的な解説は、手法ごとの特徴を並べて終わります。ただし、手法のカタログを眺めても、どこから始めるべきかは決まりません。アイコネクトが実際の支援で使っている判断軸はシンプルです。
「とりあえずウェビナー」「とりあえずホワイトペーパー」で失敗するのは、手法から入って順番を飛ばしてしまうからです。
自社サービスを検索している顧客がいるかどうかで分かれます。いるなら、その受け皿(サービス理解・導入事例・比較情報)の整備が最初の一手です。いないなら、課題起点のコンテンツで気づきを作るところから始めます。
できます。ただし手法を広げず、顕在顧客の受け皿に絞ります。1人で回せる範囲は、サイトの情報整備と導入事例の追加、それに営業との月1回の振り返りまでです。
この記事で書いた「受け皿から作る」という順番は、支援の現場で何度も見てきた失敗から来ています。認知施策に予算を投じたのに商談が増えない会社の多くは、問い合わせ直前の顧客が読むページに情報が無い。その具体的な話は、noteで書いています。
アイコネクトがこれまで培ってきたBtoBマーケティングの知見をまとめたナレッジページです。顧客の興味関心を理解し、比較検討から商談につなげるための考え方やノウハウを発信しています。
アイコネクトは、顕在顧客からBtoBマーケティングを再設計します。まずはこの4本から。
BtoBマーケティングの定義、BtoCとの違い、基本の4ステップ、戦略の立て方まで。ここを押さえてから各論に進むと、手法の選び方で迷わなくなります。ピラー記事「BtoBマーケティングとは」が入口です。
コンテンツはSEO記事だけではありません。導入事例、ホワイトペーパー、比較情報、独自調査まで、顧客の検討段階に対応させて作る考え方と、それぞれの作り方を扱います。
マーケティングと営業をつなぐのはリードではなく顧客理解です。インサイドセールスの設計、リードの引き渡し基準、失注理由の還元まで、分断をなくす実務を扱います。
問い合わせが増えないのは情報の総量ではなく、特定の段階に情報が無いからです。必要なページの一覧、料金ページ、事例ページ、CTAの置き方まで、判断の順番に沿ってサイトを組み立てます。
…以下、C. 広告/D. イベント/F. MA・CRM/H. AI検索 も同じ形で続く(カテゴリを足せばブロックが増える)
BtoBマーケティングの定義、BtoCとの違い、基本の4ステップ、戦略の立て方まで。ここを押さえてから各論に進むと、手法の選び方で迷わなくなります。ピラー記事「BtoBマーケティングとは」が入口です。
業種ごとに、顧客の検討が止まりやすい場所と、よくある課題の解決の考え方をまとめています。自社の業種から入ると、いま起きている課題の名前と、その解決方法の記事にたどり着けます。
※ 業種の一覧と1行は仮置きです。広沢さんに確定してもらう前提。
SaaSのマーケティングで判断が止まりやすいのは、契約の手前ではなく「自社に合う顧客が誰か」を決めるところです。このページでは、SaaSでよくある課題を9つに分け、それぞれの解決方法の記事につなげています。
SaaS企業のマーケティングでは、サービスを知ってもらい、契約につなげることに加え、継続して利用する顧客を獲得する視点が欠かせません。月額・年額などの継続課金を基本とするため、獲得した顧客が短期間で解約すれば、営業やマーケティングにかけた費用を十分に回収できない場合があります。
資料請求から商談・契約へ進むサービスもあれば、無料トライアルや無料プランを通じて有料契約を促すサービスもあります。契約単価や対象企業、導入の複雑さによって、適した顧客獲得の方法は異なります。
顧客が検討するのは、機能や料金だけではありません。現在の業務をどう変えられるか、既存ツールと連携できるか、移行や社内展開にどの程度の負担がかかるかも判断材料になります。競合SaaSとの比較に加え、「今の方法を続ける」という選択肢もあります。
幅広い企業で使えるサービスでも、すべての企業が同じ理由で契約するわけではありません。初めてツールを導入する企業と、既存サービスから乗り換える企業では、必要な説明が異なります。この違いを整理しないまま広告やコンテンツを増やすと、接点は増えても契約につながらない、という問題が起こります。
まずは、導入企業の課題、検討を始めたきっかけ、比較した選択肢、最終的な選定理由を捉える。そのうえで、広告、Webサイト、ホワイトペーパー、導入事例に何を載せるべきかを考えます。
買い手が「自社に合うか」「乗り換えられるか」で止まる段階に印を付けます。次の課題一覧の読み方を決める図です。
どのカテゴリの課題を、どのサービスで扱うかを1枚で示します。
※ 事例は手持ちの実績から。業種が分かるものだけ載せ、後から追記。
問い合わせや資料請求はあるのに、商談として前に進まない。商談にはなっても、受注の手前で止まる。どちらも、接点を持った後の追いかけ方と、営業への引き継ぎ方に原因がある課題です。このページでは、つまずきやすい場所を整理し、よくある課題ごとに解決方法の記事を案内します。
接点を持ってから受注までには、仕分け・接触・商談・社内の合意という段階があります。止まる場所によって、打ち手は変わります。
自社の商談がどこで止まっているかを確かめてから、下のよくある課題に進んでください。
この表層課題の中で、よく出てくる課題です。それぞれの記事で、原因の見分け方と解決方法を扱っています。
問い合わせの相手・検討の段階・引き継ぎのどこかがずれている。
解決方法を見る(この画面から開けます) W-03リード対応が遅い・営業に情報が渡らない問い合わせから最初の接触までに日数が空き、関心が冷めている。
解決方法を見る W-04リードの優先順位がつけられない顕在顧客が誰かを、フォームの入力だけで判断している。
解決方法を見る V-07検討中の相手と接点を保てないメールの一斉配信だけで、検討が始まるまで関係が続かない。
解決方法を見る W-05営業が商談で毎回同じ説明をしている商談の前に読んでもらう資料や導入事例が整っていない。
解決方法を見る W-06失注理由が分からない・マーケに戻らない「予算が合わなかった」で記録が止まり、次の打ち手にならない。
解決方法を見る商談にならないときに、問い合わせの件数を増やす施策を足すと、商談にならない問い合わせも一緒に増えます。アイコネクトは、まず直近の問い合わせと商談の記録を並べ、止まっている場所を特定することから始めます。受注や社内の合意で止まる場合も、多くは接点を持った後に届ける情報で動かせます。
同じ課題でも、業種によって現れ方が違います。業種ページでは、業種の言葉でこの課題を掘り下げています。
問い合わせは月に何件か入っているのに、商談として前に進むものがほとんどない。この状態で件数を増やす施策を足しても、商談にならない問い合わせが増えるだけです。この記事では、症状を3つに分解して自社がどれに当たるかを見分ける方法と、それぞれの打ち手を整理します。
「問い合わせは来るのに商談にならない」は、ひとつの課題ではありません。実際に問い合わせの中身を見ていくと、性質の違う3つの症状が同じ言葉でまとめられています。
規模・業種・役割・予算が自社の想定と合っていない。検索キーワード、広告、資料の内容といった入口が、想定していない層を呼んでいる。
情報収集の途中で、比較も社内の合意も始まっていない。資料請求と相談が同じフォームに集約されていると見分けられない。
相手も内容も合っているのに、返信までに数日空いている。マーケティングが集めた情報が営業に渡っていない。
自社がどれに当たるかは、次の3つを確かめると見分けられます。
1つ目の割合が低ければ①、記録していなければ②、接触までが日単位なら③が主な原因です。
直近半年の問い合わせを一覧にし、商談になったものとならなかったものに分け、ならなかった理由を営業に聞いて一言ずつ書き込みます。商談になった企業に共通する条件を書き出し、当てはまらない問い合わせが多いなら流入元をたどります。ここで出てくる「実際に商談になっている企業の条件」が、社内で共有しているペルソナと違うことがあります。そのときは営業の実感のほうを優先して書き換えてください。
資料が欲しい人、相談したい人、見積もりが欲しい人を、ひとつのフォームにまとめないことです。分けるときに効くのは、フォームの手前に「問い合わせた後に何が起きるか」を書いておくこと。もうひとつ、向いていない条件を問い合わせの手前に置く方法があります。合わない相手からの問い合わせが減り、合う相手は納得した状態で押します。
まず顕在顧客(いわゆる「今すぐ客」)の定義を営業と合意します。フォーム入力の有無だけで決めないのが要点です。次に、反響から最初の接触までの時間と、誰が対応するかを名指しで決めます。そして、引き継ぎで渡す情報を営業の言葉に翻訳します。「A社が料金ページを3回見ています」では営業は動けません。
どの症状に、どの解決策が効くかの対応。複数が同時に起きている場合は件数の多いほうから。
順番の話です。①〜③のどれが起きていても、件数を増やす施策は同じようには効きません。もうひとつ、フォームに入力したかどうかで顕在顧客を判定しないことです。何度も再訪して料金と事例を見比べている匿名の相手のほうが、資料請求フォームを埋めた人より検討が進んでいることがあります。判断の材料は入力欄ではなく、行動にあります。
リードの定義、引き継ぎの基準、行動データを営業の言葉に翻訳する部分です。見立てだけでも構いません。直近の問い合わせ一覧と、商談になったもの・ならなかったものの記録をいただければ、3つのどの症状が起きているかを見立ててお返しします。
症状①が起きている場合は、数を増やすと対象外の問い合わせも比例して増えます。まず直近の問い合わせ元を並べて、想定顧客の条件に当てはまる割合を確かめてください。
分けたほうが、営業の話し始め方を変えられます。同じ受け皿にしていると、資料が欲しいだけの人と相談したい人に同じ対応をすることになります。
私はnoteで、商談につながる資料は「課題→原因→解決の考え方→具体的な解決方法→製品」が一続きになっていて、どこからがサービス紹介なのか境目がない、と書きました。問い合わせの中身が浅いと感じるときは、渡している資料がこの形になっているかを見てみる価値があります。